MOTHER
天使じゃなくて・・・~恩師との出会い~


人生には何度も節目があり、私たちは様々な試練のスタートとゴールを繰り返しながら、スキルアップしながら生きている。しかしもし、命が明日終わるとしたら?!
終わりから始まる人生・・・
そんな人生があるなんて思ってもみませんでした。恩師に出遭うまでは。
あれはそう5年前の事です。(命日が近いからなのか、今宵も話は母関連になります。)母が末期癌患者であり、ホスピスを訪ねた事しか載せていませんでしたが、もう助からないと宣告されてから、実はもう一箇所まわっていたんです。母はその終末期医療病院と自宅を何度も行き来し、最後の三日間在宅で息をひきとったのです。そう。その病院こそが、出遭いの場所でした。この業界で知らぬ者はいない緩和ケアのプロ、S先生との出遭いの始まりです。皆さんは緩和ケア、ご存知ですか!?多くのイメージはこうでしょう。癌になった、あるいはそれでいて余命宣告までも受けたとしたら、誰もが、すぐに終わりを感じ、出来る行動は限られ、やがて食事もとれなくなり、痛みばかりに支配され、恐怖に苦しめられながらどんどん病に侵されていく・・そして壮絶な最期を迎える・・そう思っていらっしゃるのではないでしょうか。私たち家族もそう思っていました。
恩師に出遭った時は、そんな夢みたいな事があるものかと思いましたが、あったんです。
緩和ケアとは、本人が本人らしくいられる様に、最大限痛みを和らげる様に医療用麻薬を上手く使い、カウンセリングも行い心に寄り添い、本人の望む事は可能な限りさせ、好きな物が飲食出きる様にしたりする事です。緩和の資格を持った麻酔科医・外科医・臨床心理士・ソーシャルワーカーが一丸となって、チームになり患者をサポートしていきます。(注意:病気の進行具合により、食事はだいぶ個人差があります。また、だんだんとれる量はおちます。)。うちの母は、S先生のお陰で、大好きだった食べ歩きをし、家族で釣りをし、一泊コテージに泊まってみたり、また身辺整理までする事ができたのです。緩和ケアを早くから取り入れる入れないにより、色々制限されるスピードは違うのではないかとも思います。こちらも知っているのと知らないのとでは、大きな違いがでるので、まだご存知ない方は調べてみて下さい。
医者や看護師さんたちは神様でも天使でもありませんでした!!まるで、苦楽を共にしたチームメイトの様でした。家族の一部の様でした。
このチームなくしては、S医師なくしては、終わりから始まる人生はありえませんでした。
先生方、本当に本当に有難うございました。深く感謝しています。感謝以外の何ものでもありません。母と、チームと、家族と友人と過ごした日々を生涯忘れません。絶望の中の幸いってあるんですね。。。
今日は緩和ケアと、終わりから始まる人生(終活)、恩師について綴らせて頂きました。
母の望みは沢山ありました。その望み1、羽ばたきたい・・・!!!は果たして叶ったのか、これもまた本人にしか分らない事ですが、安らかな顔で眠る母の顔をみて、きっと誰のものでもない空を大きく羽ばたいたに違いない・・・そう思いたいのです。
10日は四度目の命日。実家へ帰ります。新しい命をスタートさせている小さな息子の手をひいて。
Ps:お母さん、空の上から今日も私たちが見えていますか?!